読み物 - 連載モノ - 熟年のつぶやき - エッセイ:スローライフこそ人間そのもの コント山口君

エッセイ:スローライフこそ人間そのもの コント山口君

 私、自慢じゃありませんが・・・よく、地下鉄でよく失敗をする。各駅停車しか止まらない駅に行くのに、急行に乗車してしまい・・・車中で止まらない駅を呆然と眺めながら乗り越していく。
 そんな時、昔ならカリカリしていたが、最近では、どうせ乗り越したなら、次に止まる駅で降りてみようかなんて考えるようになりました。間違えたのではない・・・そこに行かせる何かの力が働いたのだと・・・そして、意図した、しないに関係なく、この遠周りを楽しめるようになった。

 若い頃は、手間暇掛ける事より、早く結果ばかりを追い求めてきた。しかし、熟年世代になった今、スローライフこそ人間そのものではないかと考えるようになった。だいたい自分自身に50年以上の時間をかけ、色々な失敗や成功を繰り返しながら成長し、これからも生きていくのだから、これをスローライフと言わず何と言う?読者の中で「私は10代なんて面倒臭い世代を飛び越えて、いきなり1歳から20歳になりました」なんていう人はいないはず・・・もし、いるとしたら・・・その方は宇宙人かもしれません。
 地球人なら間違いなく、確実に1つずつ歳を取ってきているはず。だから、私は自信を持って地球人であることに胸を張れる。

 地球人なら生きていくスピードは変えられない。しかし、今までの私は、効率化ばかりを優先させてきて、失敗から生まれる無駄を省く事に精を出していた。しかし、元々が手間暇掛かる人間がやっている事だから、どんな効率化が図れても、失敗からくる無駄は生まれるものなんだ。
 それに気付かなかった私は、効率化の象徴のように、手間暇掛けず多くのゴミを出し、手間暇掛けてゴミ処理に悩むという失敗を繰り返していた。
 また、私が手間暇掛けずに手にした多くの情報は、手間暇掛けずに簡単に消えていったのを嫌というほど味わった。結局実になる情報は、手間暇掛けたものしか残らない・・・ことを最近知りました。
 今思えば、広範囲の移動を可能にするために、ローンで車を買い、その車を走らせるために、ガソリンスタンドにより、定期点検し、免許の更新はあるし、事故を起こせば・・・修理に出す・・・そんなトラブルが原因で夫婦喧嘩になり・・・結局、便利な事の裏側には不便な事がついて来た。

 時間を掛けて生まれてくる顔のシワなんて、スローライフの人間だからこそ出てくる象徴的なものだろう。その象徴を必死になって消そうとして、手入れに手間暇掛ける・・・女房の姿。シワを人間らしさの象徴と捉えるか、老いの証と捉えるか・・・その違いだけで、手間暇の掛け方から悩みまで・・・すべてが変わる。

 結局は、生きて行く事って・・・手間暇が掛かる・・・というより、手間暇を掛けるものではないか?それを効率化というスピードによって、便利になったと錯覚していただけじゃないかと・・・最近、強く思う私です?

447.jpg

コント山口君 本名:山口弘和
生年月日:1956年11月23日
出身地:埼玉県
サイズ:162cm68kg
コント作家、タレント。「コント山口君と竹田君」でお笑いスター誕生(NTV)にて初出場優勝のデビュー。ゴールデンアロー賞新人賞(S59)・日本放送演芸大賞最優秀ホープ賞(S59)・花王名人大賞(S60、S61)等を受賞する。最近は、舞台の演出や講演にも力を入れる。
公式ブログ:山口君のオヤジっ記 http://blog.livedoor.jp/yamaguchikunblog/

お知らせ
次号より、コント山口君による連載「コント山口君の『熟年のつぶやき』」が始まります。どうぞご期待ください。