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みなみらんぼうさんインタビュー 特集【外遊び・アウトドア】

今回は「外遊び」と題し、アウトドアの魅力を大特集!自然は遊び尽くすことのできない大きな大きな遊園地。「もう卒業した」なんて言わないで、オトナ世代だからこそ楽しみを見つけよう。外に出て自然の息吹に浸れば、ほら、自然と笑顔になるはず。

50で始まり、ライトワークに
みなみらんぼう、山を語る。


今や世代を問わないレジャーとして定着した山登り。無類の山好きとして知られる、シンガーソングライターのみなみらんぼうさん(63)にお話を伺った。

週に1度は山へ

 らんぼうさんは60歳になったとき「僕はこれから好きなことしかしない」と宣言した。その言葉通り今は仕事より山が優先だ。四季を問わず週に1度は山登りに出かけ、年間100日は国内外の山で過ごす。登山をしていると、いつも前向きな気持ちでいられるのだとか。「頂上に立つと、『さあ次はどこへ行こう』と思います」。また山友達の存在も大きな魅力だ。「性別や年齢を超越した仲間ができますよ」。

本格的な登山は50代になってから
 「山は若いときから登っていた」というらんぼうさんだが、本格的にハマったのは50の声を聞いてから。きっかけは50歳のときに出演した「中高年のための登山学」(NHK)だ。13回シリーズのこの番組で、らんぼうさんは登山家の岩崎元郎さんと共演、さまざまな手ほどきを受けた。ここで開眼し、山に夢中になった。

還暦記念にモンブラン!

 その後のらんぼうさんは55歳でキリマンジャロに登頂。60歳の時にモンブランへの登頂を果たした。「厳しかった。登れたのは運がよかったから」と当時を振り返る。これから登ろうとモンブランを見上げたとき、らんぼうさんの足は自然と震えたそうだ。「俺みたいなちっぽけなものが神様の領域に行こうなんて、何て大それたことをしようとしたんだろう」と。けれども仲間の「やってみてできなければ、それでいいじゃない」の一言で楽になった。「再挑戦は?」と問うと、ふうって笑って「もういいです」。満足感漂う、柔らかな微笑みが印象に残った。

お目当ては花と鳥
 らんぼうさんが山で1番楽しみにしているのは、花や鳥との出会いだ。このためカメラは必需品。「僕の好きな花は八ヶ岳に咲くツクモグサ。5月下旬から6月の頭にかけて10日だけ開花しますが、見られるかどうかは運次第。そんな風に『自分の好みの花に会いに行く』という楽しみ方もいいのでは?」

山の楽しみは人それぞれ
 もちろん花や鳥以外にも山の楽しみはたくさんある。「風景写真を撮ったり、スケッチしたり、一句捻る人もいます。温泉や美味しい蕎麦やに立ち寄るのもいいですよね。山頂にたどりつくことだけではなく、行程の中で自分らしく複合的に楽しめるのが山なんです」。

登った山は数えない
 山登りを楽しむためのアドバイスを聞いてみた。開口1番飛び出したのは「登った山は数えない」。「数えると『ノルマ達成』になっちゃう。山登りは競争ではないので、無理せず自分の歩幅で登ればいいんです」。また、大人世代にピッタリの「臆病なくらいでちょうどいい」との金言も。「せっかく来たからと無理をして、事故になることが多い。撤退する勇気も大事です」。

技術を身につけよう
 加えて「技術は習うべきです」とのアドバイスも頂いた。「『中高年のための登山学』に携わった当初は、『山の歩き方なんて教わらなくても』と思っていました。でも自己流のフォームでの山歩きでは長時間持たなかった。クライミングの時も岩にしがみつくとなにも見えない。でも腕を伸ばして捕まれば、自分の足が見える。するとその下も見える。技術を習うと、今まで見えていたのとは違う山の姿が見えてきます」。

俳人・みなみらんぼう
 実はらんぼうさん、山から帰る電車の中で句を詠むのが習慣だ。せっかくなので近作を紹介しよう。≪家の鍵掛けた掛けぬと登山口≫、≪妖精の宴か朴(ほう)の花盛り≫--暖かな家族の日常や、幻想的な山の情景を詠み込む手腕はさすが。あなたも大切な人と山に行きたくなったのでは?

(取材・構成:西村信子)

みなみらんぼうさん プロフィール

1944年、宮城県生まれ。ラジオ台本作家を経て71年に作詞・作曲家デビュー、歌手デビューは73年。代表作はミリオンセラー「山口さんちのツトム君」。現在、コンサートなどの音楽活動の他、テレビレポーター、ラジオパーソナリティー、絵本やエッセイの執筆など多方面で活動中。ライフワークは山歩き。「秋の山のヴァイオロン」(リヨン社)、「気軽にはじめる山登り-らんぼう流スローライフのすすめ」(PHPエル新書)など著作も多数。

『道程(みちのり)』
らんぼうさんがパーソナリティーを務めるNHK「ラジオ深夜便」から生まれた人生の応援歌。人生と山登りを重ね合わせたメッセージ性の強い歌だ。評判は上々で、多くのリスナーから共感の声が。マキシシングル『道程』の他、去年リリースされたベストアルバム『決定版みなみらんぼう』に収録。
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