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連載①山口君の「熟年のつぶやき」『道草のススメ』

 前、北海道を旅した時のこと・・・観光名所である摩周湖に出かけた私が驚いたのが、その名所を訪れた観光客の行動。その日も、さすがに霧の摩周湖と呼ばれるだけあって、湖は霧に覆われていました。
 テントを持って気ままな旅をしていた私が「ウワー・・・霧で見えねーじゃん」と残念がっていた時の事。新婚旅行と思われるカップルがタクシーで乗り付けてきたのです。
 私は、「せっかく来たのに湖面が見えずお気の毒」・・・と思ったが、当のカップルは摩周湖の景色など意にかえすことなく記念撮影を始めました。実に楽しそうに手を組んで、幸せタイムを満喫している2人は、タクシーの運転手にカメラを渡し摩周湖の看板の横でVサインをしながらパチリ。写真を撮るや否や、サッサとタクシーに乗り込み次の目的地へ走り去ったのです。
 私は唖然としたが、そんな2人の行動が、特別ではない事をその後、思い知らされる。今度は、熟年世代の皆様が、団体旅行でご登場。「あら、霧で見えないよ」という声が聞こえたが・・・それ程、残念がる様子もなく、これまた記念撮影エリアで団体写真をパチリ。またもや、そそくさと次の目的地へバスは出発進行してしまったのです。
 私が暫く、その場にいる間、ほとんどの旅行者が、摩周湖の看板の横で写真を撮るや否や立ち去って行ったのです。その光景は、まるで何処を旅したのかのアリバイ作りをしているだけのようにしか見えない私。

 なぜ、日本人は、こんな旅の仕方をするのだろうか?
 子供の頃、道草せず早く家に帰って来なさいと言われませんでしたか?私は、親によく言われ、別段考えることなく道草はいけないものだと思っていました。家には真っ直ぐ帰るのが正しい行動。目的地には最短距離で!
 日本人はスケジュールを立てると、そのスケジュールの通りに進めることを最優先させる!過程よりも結果を重視!そんな日本人のごく普通の感覚が、多くの感動を与えてくれるはずの旅先で、限られた行動をさせてしまうと思いませんか?
 もったいないでしょう・・・。

 私は、今になってみると・・・もっと道草しておけば良かったと思っています。道草しておけば、誰もが知っている景色以外に、自分だけしか知らないものを発見できたかも知れないから・・・。今では、時間潰しの散歩のときはノンビリと・・・アッチコッチよそ見しながらチンタラ歩きます。
 特に、このチンタラ歩くのが大好きです。いつも歩いている道でさえ、新しい発見があるからです。昨日はなかった犬の糞が、今日はある。不心得者の飼い主が犬の散歩の義務を怠った現実を見ることが出来るのです。
 話は逸れましたが、いつもは時間の制約の中で目的地を目指す事が多いからこそ、たまに出来た時間を使うなら、着の身着のままで出かけてみませんか?
 限られてくる時間だからこそ、スケジュールに縛られる事なく、出来うるだけの道草をするために外へ出かける・・・そして、誰もが知っている景色の中に新たな発見をする喜びを・・・いいと思いませんか?

コント山口君 本名:山口弘和
生年月日:1956年11月23日
出身地:埼玉県
サイズ:162cm68kg
コント作家、 タレント。「コント山口君と竹田君」でお笑いスター誕生(NTV)にて初出場優勝のデビュー。ゴールデンアロー賞新人賞(S59)・日本放送演芸大賞最優 秀ホープ賞(S59)・花王名人大賞(S60、S61)等を受賞する。最近は、舞台の演出や講演にも力を入れる。
公式ブログ:山口君のアヤジっ記 http://blog.livedoor.jp/yamaguchikunblog/
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