読み物 - 生きる - 健康第一 - シリーズ 介護予防②

シリーズ 介護予防②

認知症予防のカギは『食事』にあり
 厚生労働省の2012年の発表によると、認知症高齢者とその予備軍とされる軽度認知障害の人数は800万人以上となり、65歳以上の4人に1人が該当するといわれます。認知症と食生活の関係を研究している国立精神・神経医療研究センター神経研究所の功刀(くぬぎ)浩 先生に、認知症予防についてお話を伺いました。

認知症の原因
 物忘れや脳の老化は、年齢を重ねるごとに進むのはやむを得ないことです。気になる症状のある方は、「もの忘れ外来」などの専門病院で脳の健康具合のチェックをしたり、場合によってはMRI検査などで現在の脳の状態を知っておくと良いでしょう。
 認知症を引き起こす原因で最も多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気で、アルツハイマー病やレビー小体病などがこれに当たります。罹患率が多いアルツハイマー病は、年齢的な要因はもちろんですが、遺伝的要素と環境要因が複雑に関与しています。特にストレスとの関係が注目され、慢性的なストレスがきっかけでうつ病になった人はストレスホルモンの影響による脳萎縮がおこり、認知症になりやすいことがわかってきました。
 また、脳梗塞・脳出血などにより、神経細胞に栄養や酸素がいかずに神経細胞が死んでしまったり、神経のネットワークが壊れてしまう「脳血管性認知症」もあります。これは、高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満や心疾患など、生活習慣病の人ほどリスクが高まる傾向にあります。

認知症と食生活の深い関係
地中海式食事.jpg
 日々の食生活では、カロリーの過剰摂取をさけバランスの良い食事を心掛けることが大切です。ただし高齢期においては、食欲の低下などによる栄養不足状態にも気をつけなければなりません。
 認知症と食生活との関係は明らかで、認知症の予防で効果が上がるとされるのが「地中海式食事」です。これは、野菜・果物・種実・豆類・魚・オリーブ油が豊富でそれに殻類と適量の赤ワインが加わり、肉類や乳製品は少ない食事内容を指します。脂質のバランスが良く、食物繊維やビタミン・ミネラルが取りやすい構成です。
 魚に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は、認知症予防に役立つといわれています。また、赤ワインに含まれるポリフェノール、緑茶のカテキン、カレーのクルクミン(ウコン)などは、アルツハイマー病の予防だけではなく様々な病気の予防につながる可能性がありますので、普段から摂取すると良いでしょう。その他にも、母乳やココナッツオイルなどに多く含まれる中鎖脂肪酸は、ブドウ糖の代替エネルギーになるケトン体に分解され、脳のエネルギー源となります。このケトン食が脳の機能改善に有効であることは注目されています。

運動も認知症リスクを抑える
アルツ減少.jpg
 適度な運動も認知症予防には欠かせません。中高年期の運動の習慣は、認知症の発生のリスクを抑えることが明らかになってきました。特に有酸素運動は有効で、早朝や夜間ではなく食事をしっかりとった後に運動することを勧めています。
 また、睡眠時間を十分に取るなどの規則正しい生活も認知症予防に影響を与えます。日頃から生活のリズムを整える習慣をつけることも脳に良い効果があるでしょう。
 記憶力や判断力などの認知機能がしっかりとしている今のうちから、脳の衰えを防ぐためにこれらのことを心掛けることが大切です。

くぬぎ先生.jpg



















※こちらは2017年3月現在の情報です

/* */