読み物 - 生きる - 健康第一 - 目指そう! 健康長寿

目指そう! 健康長寿

健康寿命を伸ばす3つの柱

 「健康長寿」とは心身共に自立した活動的な期間、つまり「健康寿命」が長い事です。より元気で長生きをするには、どのような生活を心掛けるべきなのでしょうか?日本は世界でトップクラスの長寿国でありながら、健康寿命が短く寝たきりの人生が長いといわれます。そこで今回は、「熟年ばんざい 新聞折り込み版・シリーズ介護予防」で取材協力を頂いた先生方のお話の要点をまとめてお伝えします。

3つの相互関係に注目
 高齢者の方を対象に、運動面・生活面・身体面・心理面など、長期にわたり健康状態の推移を調べたところ、健康長寿の高齢者には3つの多くの特徴がみられました。一つは、血液成分など栄養状態が良好である事、また握力がある・歩く速度が速いなど体力がある事、そして仕事や地域活動をするなど社会参加を続けているという事です。この3つは互いに関連し合っています。栄養が十分に摂れていれば体力も維持でき、体力があれば地域や社会の活動の場も広がります。社会活動が活発であれば、必然的に食欲旺盛になるわけです。ですから健康長寿には、
・栄養
・体力
・社会活動
の3つの要素が必要不可欠なのです。

粗食は健康寿命を縮める
栄養価.jpg
 メタボリックシンドロームが注目される中、カロリー制限や低脂肪が脚光をあび、健康のためには粗食が良いとされますが、高齢者にはこれはあてはまりません。高齢者の2~3割は「低栄養状態」というデータがあります。この状態が続くと、摂取エネルギーが不足する為、本来身体を作るのに使われるたんぱく質でエネルギーの不足を補おうとします。結果、血管が細く弱くなり動脈硬化を起こしやすくなるのです。免疫力も低下するので感染症にもかかりやすくなります。個人差もありますが、65歳を過ぎたら「食」の常識を変えていきましょう。「老化予防を目指した食生活指針」(東京都健康長寿医療センター)の中で、肉・魚などの動物性たんぱく質を摂取する、油脂類が不足しないようにする、牛乳を毎日200ml以上飲むなど、14か条を掲げています。乳製品・果物類も欠かさず取り入れると良いでしょう。
地中海式食事.jpg
 また、認知症と食生活の関係は明らかで、バランス良い食事を心掛けることが大切です。特に認知症の予防に効果が上がるとされるのが「地中海式食事」です。野菜・果実・種実・豆類・魚・オリーブ油が豊富で、それに殻類と適量の赤ワインが加わります。脂質のバランスが良い食事内容で、食物繊維やビタミン・ミネラルが摂りやすい構成です。

健康寿命は足腰から
たいそう.jpg
 骨折・転倒・関節疾患など、足腰の衰えが原因で介護に繋がってしまった人の割合は、約4人に1人というデータがあります。また、運動器(脳や脊髄・筋肉・骨)の障害による立つ・歩くなどの日常生活の動作が困難になる、運動器症候群(ロコモティブシンドローム)は、予備軍を含めると70歳以上では95%の人が当てはまるといわれます。運動器の障害は、突然起こるわけではありません。加齢による機能低下や生活習慣の積み重ねで進行し、症状が悪化すると要介護状態になってしまうのです。日頃からの運動習慣がカギといえるでしょう。
 慢性的な腰痛やひざ痛の方も多いでしょうが、あまり大事にし過ぎない事です。あえて意識を変えて、どんどん体を動かしましょう。転倒予防には、バランス能力を付ける「片脚立ち」や下股の筋肉を付ける「スクワット」などがとても有効です。日常生活の中でも「歩幅を広く歩く」「キビキビと掃除や洗濯をする」など、今より活発な生活をする事が大切です。

積極的な社会参加を
 高齢者の方でスポーツ組織や趣味関係のグループなど、社会参加の割合が高い地域ほど、転倒・認知症・うつ病のリスクが低いという調査結果があります。また、社会的な繋がりが乏しい人と充分に取っている人で認知症の発症率を比べると、前者が8倍も上回るとうデータもあります。コミュニケーションをとる事は脳の活性化に重要で、積極的な社会活動は認知症予防に有効なのです。
 高齢者の方の社会参加を促し介護予防にも役立つよう、行政では様々な事業に取り組んでいます。地域包括支援センターは市町村が運営している総合相談機関で、各センターには保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーが配置されています。地域の人たちの暮らしをサポートし、社会参加の意欲を高める活動や高齢者の自立を支える支援を行っています。行政の介護予防事業を上手く利用したり、興味を持っている事に新しくチャレンジする姿勢がとても大切です。積極的に外に出る機会を作り「社会的役割」や「生きがい」を持ち常に社会との関わりを欠かさず、社会参加を続けていきましょう。

■取材協力
・東京都健康長寿医療センター研究所副所長
 新開省二 先生
・国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第三部部長 
 功刀浩 先生
・入間市健康福祉センター 健康福祉課 健康運動指導士
 コバチ真実 さん
・入間市介護保険課 保健師 認知症地域支援推進員
 木村やよい さん