スペシャルインタビュー - コロッケさん

スペシャルインタビュー コロッケさん

ものまね界の“レジェント”として第一線で輝き続けるコロッケさん。彼のものまねの特徴といえば、過激なまでのデフォルメ。自分の空想の中で一歩進めて独自にアレンジを加えた芸の深さは、もはや芸術に近い。そんなコロッケさんのものまね人生についてお話を伺った。
自分にとって『ものまね』は人に
         喜んでもらうための武器
     一生一芸人でありたい
Profile コロッケ
1960年生れ、熊本県出身。1985年「ものまね王座決定戦」の出演で一躍人気芸人となり、ものまねタレントの代名詞的存在になる。1980年代後半「ものまね四天王」ブームを作り、ものまねが今日一つの芸のジャンルとして確立するうえでの功労者の一人。芸能生活35周年記念のワールドツアーや明治座公演など、常に新しいことに取り組み精力的に活動している。
――パフォーマンスの根底は極端なデフォルメ
 9歳で上京した当時は、六本木や大塚のショーパブなどを中心にものまねを披露していたと言う。あまりの面白さに、あっという間に繁華街の人気者になった。「お笑いスター誕生」の出演で芸能界デビューを果たして以来、テレビのものまね番組にはなくてはならない存在となっている。当時のまねは、顔の表情やしぐさ、振付などのビジュアルのみ。歌手のまねでありながらステージ上で声を出さない形態模写は、時代に即した革命的なものだったのだろう。数多くのものまね芸人の中でも、抜きんでた強烈な印象が残るコロッケさん。
 「僕のものまねは、自分の中での想像の世界。極端なデフォルメです。ご本人は絶対そんな事はしないのだけど、五郎さんだったら鼻をほじる、千春さんだったら頭髪が開く。この人がこんな事をしたら…、と自然に興味が湧いてくるのです。要はその人が好きなんですねっ。皆さんに『コロッケはこんな事やるなっ』っていうのが10年位時間をかけて少しずつ認知されてきて、それが今の芸風になっています」
――好きな事をやっているのだから苦労はありません
 「志村けんさんのものまねを完成させるには随分時間がかかりましたね。志村さんと僕の声は程遠いんです。高い声をひっくり返す練習をして、まずは「アイウエオ」。それが出来るようになったら、今度は日常生活の会話でその声を出す練習。極端な時は、一日中部屋の中で志村さんの声で喋ったり…。こういう台詞を言う時はこんな感じで喋るんじゃあないかなぁ、と。想像の上に成り立っているので後々色んな振り方をされても志村さんで何でも出来るようになっているんです。それにはやはり半年はかかりましたよ」
 天才的な芸の影には、並々ならぬ努力があった。けれどもそこには「好きな事をやらせてもらっている」という喜びがあると語る。
――邪念無くものまねする事で人を幸せにできる
 「僕は、こんなふうにしたら面白いかな、ウケるんじゃあないかな、そう考えてネタを作ったことは一度も無いんです。好きでやってるうちに自然にそうなったと言う方が正解。五木さんにしても、最初ちょっと目を細めて歌っていたのがそのうち飛ぶようになり、ロボットになっていく。今はそれがCGの動きになっています。自分のフィルターを通して僕の中の別の人物である五木さんがどんどん進化していくんです」
 なるほど、コロッケさんのネタがいつでも新鮮で魅力的に私達に届くにはこんな裏付けがあったのだ。
「最初に僕がものまねをやり始めた学生の頃は、ただ単にモテたかったから。それが芸能界にデビューしてものまねをやっていくうちに、人に喜んでもらう事がとても嬉しくなりました。小さい子供からお年寄りまで喜んで頂くにはどうすればよいだろう、と。そこには邪念無く格好つけない自分がいる。自分本位ではなく相手の事を考えるようになった時、自分のものまねの方向性が見えてきた、と振り返って思います」
――ものまね芸人冥利につきます
 あるお客様からお手紙を頂いたと言う。
「『コロッケさんのコンサートを主人と一緒に見に来ました。主人がこんなに笑う姿を初めて見ました。結婚40年、今になりこんなふうに笑う人だと知りました』と。僕のものまねを見てご夫婦が円満になられたのです。また、うつ病のご主人を無理やりコンサートに連れてきた方から『笑顔が戻ってきた』と言うお話も頂きました。そして、五木ロボしか知らない子供から『実際の歌を聴いて五木ひろしさんのファンになった』と言う話を聞くと、ものまねをやってて良かったなぁと心底思います」
――熟年世代の方々へ精一杯生き抜いてください
 「熟年世代の皆様には、『生き抜いて下さい』と申し上げたいです。精一杯泣いて笑って怒って、今まで通りの自分で自分らしく生き方を貫いてほしいです。そういう気持ちでいると色んな物を見る心が新鮮でいられる思うんです。『ヨッシャ!』と言う気持ちで前に進んでいってほしいですねっ」

 2・3年前からものまね落語を劇場でやっていると言う。「話し家さんがやらない新しい形のものまね落語を10年間位かけて完成させたい」と60歳を過ぎた後の自分を見据えての挑戦だ。『誰もやらない事を先にやりたい=人に喜んでもらえる事』真摯な生き方のコロッケさんらしい言葉が印象に残った

 2014年10月
 (聞き手:高橋牧子 編集長:山本英二)

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