スペシャルインタビュー - 園 まりさん

スペシャルインタビュー 園 まりさん

甘く囁くような透明感ある歌声で一世を風靡した園まりさん。日活黄金時代のスクリーンでも活躍するなどアイドルとしてお茶の間の人気者に。エレガントな雰囲気と庶民的な魅力を合わせ持つ実力派歌手の一人。三人娘再結成後10年、活躍の場を広げマルチタレントぶりを発揮している園まりさんにお話を伺いました。
『投げない・捨てない・諦めない』
     の精神で前に進んでいきます

Profile 園 まり(その まり)
1944年神奈川県生まれ。1961年、東洋音楽学校在学中にオーデションに合格しレコードデビューを果たす。中尾ミエさん・伊東ゆかりさんと共に「スパーク三人娘」を結成して国民的アイドルへ。ムード歌謡のブームに乗り「何も云わないで」「逢いたくて逢いたくて」「夢は夜ひらく」などミリオンセールスを記録。紅白歌合戦には1963年から1968年まで連続6回出場。現在、再結成をはたした「三人娘コンサート」の全国ツアーや単独ディナーショーをはじめ35年ぶりに映画に出演するなど幅広く活躍中。
――『三人娘』として爆発的な人気
 オペラ歌手になりたかった父親が歌う『荒城の月』を子守唄代わりに育った園まりさん。彼女のビブラートの利いた大人びた歌声は、幼少時代すでに周りから折り紙つきだったと言う。
 「レコードデビューをし本格的な歌手活動を始めた年、中尾ミエさん・伊東ゆかりさんと三人娘を結成したんです。正式なユニットではなかったのですが、三人三様の個性がバランスよく面白いという事で、あっという間に人気者になっていった感じです。テレビ番組や映画の出演を始め、寝る暇もなく3人で日本中を回りました。三人娘としての3年間、仕事はほとんど一緒でしたね。ところがNHK放送の『きょうのうた』で披露した『何も云わないで』が反響を呼び急遽レコーディングし大ヒット。それぞれの自立のきっかけとなったんです。『三人娘』を解消しソロ活動を始め、自分の意志でヘアスタイルやドレスをコーディネートしました。歌い方もクラッシックで張り上げる声質を抑えて、一小節ごと語るように囁く感じに。この歌唱法が新鮮だったようです」
――『歌は天命』父親の最後の言葉
 1994年から約10年間、芸能活動を休止。がんに侵されていた父親を献身的に介護したと言う。
 「尽くせるだけ尽くし、余命いくばくもない父親を支えました。その間、自分の歌手人生を振り返り『歌ってなんだろうか…』と問いながら静かに気持ちをしたためました。歌手としての意識が変わったのは『毬子にとって歌は天命なんだから、そのことを忘れちゃいけないよ』と言った父親の一言。本当の意味で歌手として歌いたい! と決意が固まり、気持ちがパッと切り替えられたのです。それが父の私に対する遺言であり願いだったんだと初めて腑に落ちた感じでした」
――歌手活動再開
 再復活の場となったのは、大雪の中での元旦のコンサート。
 「たとえお客さんが一人でも、今のこの雪のような真っ白な気持ちで歌いたい…そんな不思議な感覚でした。コンサート当日は、意に反して久々に待っていたお客様の『まりちゃーん』の大歓声。立ち見が出るほど一杯でしたね。その後は気持ちが通じたのか、本格的な歌手活動を再開するきっかけとなったのが、いきなりハードルの高いNHKテレビの『あの歌この芸』。歌5曲と台本無しのフリートーキングに挑戦し、試練とかプレッシャーに強い自分を再確認しました。2003年の芸能生活40周年記念の草月ホールでの記念リサイタルでは、待ってました! とばかりミエさんとゆかりさんが集まり、『三人娘の再結成』のきっかけとなったんです」
――40年の時を経て三人娘再結成
 「昔から仲が良かった訳ではないんです。若い頃は個性がぶつかりライバル同士でしたから。それが40年たって一緒になってみると、昔とは全然違った心地良さがあるんです。年代も同じですから、辛い事やどうにもならない事を経験してますよね。話さなくてもわかり合える部分を感じます。2005年の再結成から今年で10年目。三人娘として全国コンサートツアーを行っていますが、毎回バージョンアップしていますよ。2時間、歌って踊ってトークあり。まるでミニミュージカルです。古希の私には体力的にかなりハードで難易度が高いです。でも、これだけ試練や課題を与えてもらうとボケてる暇もありません。どんどん新しいものを取り入れています。AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』を振付けて歌ったり、客席のお客さんがステージに上がって一緒にツイストを踊ったり…、コンサート会場が一体化し青春時代が甦るような熱いステージです。歳をとっても色んな可能性を引き出せるんだな、と思えるきっかけになるのが私達3人です。きっとエネルギーを沢山貰えると思います」
――乳がん克服の経験から 同年代の方へのメッセージ
 「うちはがん家系なので、いつか自分も…という不安はありました。告知された時はショックでしたね。その不安から立ち直るには、とにかく自分の気持ちを吐き出す事です。内にこもらないで、その不安を画用紙に書きなぐるんです。『手術が怖い・辛い・神様助けて』とか何でも。自分の思いを書き出した事で発散できてるんです。字を目に止めると思い悩んでる事の整理が出来るはずです。これは病気に限らず自分の心が弱っている時はきっと役に立ちます。人生、山あり谷ありで試練はつきもの。それを乗り越え少しずつたくましくしてくれるのです。閉ざさないで心を開くことが大切。いたわりとか手を差し伸べたり心を尽くしたりする事が出来る素晴らしい世代です」

 白い衣装がとてもお似合いで清楚な雰囲気が印象的な園まりさん。ご自身の病気で経験したことも含め、全てを歌に乗せて今後も私たちにエールを送ってくれる事でしょう。

 2014年12月
 (聞き手:高橋牧子 編集長:山本英二)

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