スペシャルインタビュー - 杉田二郎さん

スペシャルインタビュー 杉田 二郎さん

戦後生まれの第一世代、男性デュオ「ジローズ」が歌った『戦争を知らない子供たち』。世相や若者の思いを繁栄したこの名曲は、熟年世代の誰しもが一度は口ずさんでいるに違いない。賛否両論の渦を巻きおこしたこの曲に秘められた思いを時代背景とともに語る杉田二郎さん。フォークソングの全盛時代を駆け抜けた杉田さんの素顔に迫るインタビューだ。
『戦争を知らない子供たち』を
  いつまでも歌い続けられる
     平和な国でありますように…… 


Profile 杉田二郎(すぎたじろう)1946年生まれ 京都市出身

1967年、アマチュアバンド時代に『ジローズ』を結成し、大学在学中の’69年に自ら作詞作曲を手掛けた卒業記念曲「あなただけに/マイハート」がレコード化。後、はしだのりひこらの『はしだのりひことシューベルツ』に仲間入りをする。’70年に再結成した『ジローズ』の「戦争を知らない子供たち」が記録的大ヒットとなり、翌年の第13回日本レコード大賞作詞賞を受賞。72年からソロアーティストとなり、「再会」が超ロングヒットセラーに。現在も音楽界の第一人者としてコンサートやイベント活動に奔走中。フォーク界を代表するアーティスト5人で結成した注目のユニット『ブラザーズ5』のリーダー。


――アメリカンフォークに魅せられて
「高校2年生の頃、既に音楽活動をしていた友人が放課後の教室で学園祭で歌うフォークソングの練習をしていたのです。先輩後輩が一緒になって歌っている姿が楽しそうで…。それまで歌を歌った事なんてなかったけれど『フォークソングは、歌が上手下手なんて関係ない。自分達の思いを歌に託して歌う事が大切なんだ』そんな言葉が心に残り、彼らの仲間入りをしました。ブラザーズ・フォアやキングストーントリオとか、アメリカンフォークの大御所達のレコードがどんどん入ってきた時代です。そのレコードを聴いて『こんな世界があるんだ』と衝撃を受けこれ以来、来る日も来る日も歌いましたね。青春時代です」
――関西フォークブームの出発点「京都」
 「古い文化の中で新しい事を融合させている物凄くエキサイティングな街、京都。それが歌に上手くマッチングして、京都はロックもブルースもフォークも盛んでしたね。歴史の重厚さの中で、自分たちは一体何ができるのだろう…。そんな反動の中、大学時代は歌にのめり込んでいきました。僕は、在学中に結成していたアマチュアバンド『ジローズ』を解散。後に解散が間近だった『ザ・フォーク・クルセダーズ』の北山修さんの『京都のフォークのエネルギーを繋げていきたい』との思いが絡み、はしだのりひこさんが結成した新しいバンド『はしだのりひことシューベルツ』へ加入する事になったのです。リードギターとボーカルとしての本格的な始動となりました」
――「戦争を知らない子供たち」に込められた思い
 1970年大阪万博の年、北山修さん作詞・杉田二郎さん作曲の「戦争を知らない子供たち」を全日本アマチュアフォークシンガーズが歌い、翌年再結成された『ジローズ』によって歌われた。
 「中学の頃、親戚の大人達が集まると、必ず会話は戦争体験の話。子供心にその傷跡の深さ、苦しみや悲しみをイメージできました。それが高校、大学になると、アメリカの音楽やファッションが入ってきて、自由な香りで流行に流され生意気になっていくのが自分でもわかるんです。大人と話をしても『もう時代は変わった! そんなのは古いんですよ!』みたいに。『今の若者は、戦争も知らないくせに生意気言うな!』と何度も怒鳴られました。
 後に北山修とその当時を振り返り議論しながら、『これからの時代は戦争体験者の話も大事にし、自分たちの世代以降は戦争のない世の中にしていかなければいけない。そういう思いを歌に残そう!』そんな気持ちで出来たのがあの曲です。優しい歌詞の一つ一つの言葉の深い思いをいつか理解してもらいたいという願いがこもっています。この曲を世に送り出した時、戦争に対する意識や歌詞の解釈の相違から、『賛成・反対』の意見が飛び交いました。学生運動が盛んな大学の学園祭などでこの曲を演奏すると、『帰れ帰れ』『歌え歌え』と怒号が飛び交うなんて事が良くありましたね」
――団塊世代へエールを贈る夢のユニット「ブラザーズ5」
 2014年に、実力派アーティスト5人が、「ブラザーズ5」として団塊世代にエネルギーを与えるステージを繰り広げている。メンバーの音頭を取った杉田二郎さんを始め、堀内孝雄さん、ばんばひろふみさん、高山厳さん、因幡晃さんという、いずれも時代を代表するヒット曲を持つ面々だ。
 「因幡君以外はみんなグループ活動をしてきた4人です。仲間で歌うことの楽しさを知っているので、『みんなでやろうよ!せーの!』で自然発生的に勢いで集まりました。皆、自分の立ち位置が判っています。無理をしないでそれぞれがパワーを持ち合い、どこまで行こうかと目標を持ってます。努力したら何かできるんじゃないかと『エネルギーの出し方』を、探り始めているところなんです。『今』がようやくそれができる時です」

 今年でデビュー50周年を迎える杉田二郎さん。「ジローズ」当時と変わらない響きわたるような低音が魅力的で、講話を聴いているような時間が流れた。来たる3月30日、ミューズで開催される「アコースティックライブ」にどんなステージが待っているのか期待が高まる。

 2017年2月
 (聞き手:高橋牧子 編集長:山本英二)


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