50歳からの「生」と「性」 - 第2回 生きる力を呼び覚ます性

生きる力を呼び覚ます性

    「心で生きる」と書くのが「性」。性と生は重なるもの。人は生きている限り性に関わり続け、それを表現し続ける生き物である。男は女を意識し、女は男を意識することで心身レベルで変わりうる。性との良好な関係は人間の生きる力を呼び覚まし、若返りの特効薬となるのである。

セックスで病気を予防し、老化を遅らせ、若返りの効果が期待できる


     性機能の衰えは個人差があるにせよ、誰しも経験することだ。これによって「おれは(私は)ダメになった」と思いこみ、異性やセックスへの関心を失う人も多いが、ちょっと待ってほしい。年をとることで思うように扱えなくなるのは、目・耳・手足など身体の他の器官も同様だが、視力ならメガネを、聴力なら補聴器を、足なら杖や歩行器を頼りにゆっくり歩くことで、なんとか対応できるではないか。
     性機能もまたしかりで、衰えて役割を終えたのではなく、補助器具や治療を頼りに新たなやり方を見つけていけばよい。「そこまでする価値があるのか」という声もあるかもしれないが、健やかに長寿を全うすることが望みなら、恋愛とセックスはその願いを叶えるものであり、心身の健康と若返りに貢献してくれるものなのである。
     実際に、セックスには心臓病、男性の前立腺肥大、女性の子宮内膜症などのリスクを減らす効果があるといわれている。この他にも、鎮痛作用、免疫力アップ、老化予防なども指摘されている。また、脳内ホルモン「エンドルフィン」の分泌を促すことから、頭痛や関節炎の痛みなどが和らいだという報告もある。さらに平均週1~2回セックスすると、免疫力を高める効果を持つ抗体タンパク質の免疫グロブリンの分泌が促進され、風邪や他の感染症から体を守る機能が高められるという。老化を遅らせたり、寿命を延ばす効果も認められている。気持ちの良いセックスで、「若返りホルモン」と呼ばれるDHEAの分泌が促進され、表情が明るくなり、顔や首、髪の毛などが若返るのだ。

老人ホームの男女交流と恋愛効果


     ある施設で、介護が必要な70過ぎの入居者に限り「男女同室」にしたところ、セクハラなどの性的トラブルが逆に激減。男女共に身だしなみに気を使うようになり、薄化粧をほどこす女性も登場するなど、全体的に活気が出た。相互のいたわりや言葉かけが増え、食欲が出てリハビリを始めるなど生活意欲も高まり、大多数のお年寄りに好評だったという。
     また、別のある施設では、紙おむつ着用の70代女性と半身マヒの60代後半男性とが恋仲になり、エレベーターでの逢瀬を重ね、男性の風呂上りの着替えを嬉しそうに手伝う70代女性の様子を職員が見守り続けたところ、やがて彼女は紙おむつを必要としなくなった。
     毎月1回、希望者のみ「日活ロマンポルノを見る会」を開催した東京の施設もある。寝たきりの痴ほう症で言葉も出なかった80代後半男性が、映画を観るようになって以来どんどん元気になり、日中は車いすに座って自分で食事がとれるようになった。心の自由を尊重するこの施設では、車いすのお年寄りを介助して、浅草にストリップを観に行ったこともあるという。

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