お墓選びで後悔しないために 知っておきたい基礎知識 お墓の種類と値段

現在のお墓事情は大きく変化しています。一般的なお墓に代わって最近増えてきているのが「永代供養墓」。一般的なお墓と永代供養墓を組み合わせたものや、一般的なお墓に近い形態の永代供養墓も登場しています。なかなか理解しづらいお墓の値段の内訳、種類について解説します。

一般墓の値段の内訳

お墓を建てるためにかかる費用には、大きく三つあります。
①永代使用料②墓石代③管理料
お墓を建てるには、公営・民営の霊園や、寺院の墓地を使用することとなり、場所代としてかかる費用を「永代使用料」といいます。
一般的に、「お墓を買う」という表現をしますが、お墓の土地は「買う」ものではなく、「借りる」と言ったほうが正しく、不動産のように所有権を買い取るわけではないので、「取得税」「相続税」「固定資産税」等の対象外となります。使用権は遺族に継ぐことはできますが、他人へ譲渡・転売することはできません。
永代使用料を支払っても、お墓の継承者がいなくなり、管理料を支払えなくなった場合は「無縁墓」となり使用権は失われます。なお、お墓の引越しや墓終いなどにより、お墓が不要になってしまった場合、墓地を返還することもできますが、永代使用料はあくまで「使用料」として支払っているためお金は戻ってきません。

永代使用料の値段差がある理由

不動産と同じように、立地条件や開発費用、地価などが価格に影響します。都心に近い、交通アクセスがよい、設備が充実しているなど、利便性の高い条件ほど永代使用料は高くなる傾向にあります。墓地が広ければ広いほど高額になり、お墓の向き(方角)、他のお墓と背合わせにならない、角地にあるなど、墓所の中でも好立地な区画は割増し価格が設定されている場合がほとんどです。

墓石にかかる費用

基本的な墓石に加え、家名などの彫刻料、据え付け工事代金、香皿や花立などの付属品、外柵などの外構料金がかかります。永代使用料と違って消費税がかかります。石の種類、石の使用料、デザイン、彫刻内容により費用が変わってきますので、自分の予算や希望を担当の石材店へ詳しく相談しましょう。

管理料の相場

霊園・寺院により異なり、1年あたり数千円~数万円と様々です。管理料は、墓地の永代使用契約をした時点から支払いが始まります。そのため、まだお墓を建てていない場合や、まだ納骨をしていない場合でも支払う必要があります。毎年、1年分をまとめて支払うのが一般的ですが、霊園・寺院によっては数年分、もしくは数十年分をまとめて納めることもできます。
特に注意したいのが滞納で、ほとんどの霊園・寺院では、管理料の滞納が一定期間続くと、お墓の使用権を取り消します。お墓の継承者が代わった際には、管理料の引落口座の確認や更新、連絡先の変更を忘れないようにしましょう。

多様化する永代供養墓

永代供養は、子供や家族へのお墓の継承を前提としていないので、身寄りのない方や、後継ぎのない方の供養手段としてこれまで用いられてきました。しかし昨今、「子供に墓守りの苦労をかけたくない」「お墓には費用をかけず、お金を遺してやりたい」などと考えて、自ら永代供養を選ぶ方も増えてきています。一般的なお墓は子供たちが引き継ぎ供養や管理を行いますが、永代供養では供養や管理を霊園・墓地の管理者が行うため、承継者がいなくてもお墓を管理してもらえるのです。

納骨方法の違いを理解しよう

永代供養墓は様々な形態がありますが、納骨方法によって2つに分類することができます。骨壷のまま納骨される(以下納骨式)か、骨壷から出して納骨される(以下合祀墓)かです。
納骨式でも、一定期間経ってから合祀するものと永久に骨壷のまま保管されるものに分けられます。合祀されるまでの期間の長さは、霊園や遺族の希望により違いがありますが、13回忌あるいは、33回忌法要までとされている場合が多いようです。

さまざまな形態が登場

納骨式の永代供養墓には、様々な種類が登場しています。一般のお墓と同じような個別の墓石型、納骨室が連なった連棟式のもの、樹木葬タイプで、骨壷を決まった場所に埋葬するものや個別の納骨室があるもの等があります。また、屋内の納骨堂に収められるタイプの中でもロッカー型や仏壇式、自動搬送式など様々です。

納骨式の永代供養墓の場合、個人用・夫婦用など埋葬できる人数が決められていますが、人数が増えると費用は高くなります。また、後から追加して埋葬すると別途費用がかかるのが一般的です。永代供養墓を複数名で利用する場合や後から追加して埋葬する場合は、結果的に一般的なお墓の方が安いこともあり得ます。永代供養のお墓は、一般的なお墓よりも小さめで、埋葬できる遺骨の数も限りがありますので、事前に埋葬人数の確認をしておきましょう。

合祀後の改葬はできない

合祀墓の場合、従来は他の人の遺骨と一緒に埋葬される場合がほとんどだったのですが、それでは抵抗があるという人も多いので、予め決められた場所に埋葬されるタイプや、個別に袋に入れて納骨室に納められる方式など、他の人の遺骨と混ざらないように配慮されたものも登場しています。いったん骨壷から出してしまうと、骨を取り出すことはできません。お墓の引越し(改葬)をすることはできなくなりますので注意が必要です。

永代供養墓の値段

費用は「永代供養料」とされ、個別タイプのものでも墓石代などを含めた金額の総額を指します。管理費は一般的に合祀墓はかからない場合がほとんどですが、墓石タイプの永代供養墓は、必要な場合が多いようです。

失敗しないお墓選びのために

お墓選びは建てる本人だけはなく、家族や親戚にとっても大切な問題です。迷ったり悩んだりした時は周囲の方々に相談しながら、一つ一つ丁寧に解決していくように心掛けてみましょう。