武蔵国の小京都
与謝野晶子も愛した景勝地
埼玉県を代表する景勝地
清流と岩畳、木々が織り成す景観が美しい「嵐山渓谷(らんざんけいこく)」。特に秋の紅葉の時期は圧巻だ。外秩父山地の堂平山に端を発した槻川(つきかわ)は、小川町を経て、嵐山町遠山地区でヘアピンカーブを描くように曲流し、長瀞の様な岩畳を縫って流れる渓谷の様相を見せる。この付近が嵐山渓谷と呼ばれる景勝地だ。
昭和3年秋、日本で初めての林学博士・本多静六博士が当地を訪れ、渓谷の最下流部にある槻川橋より渓谷と周辺の紅葉や赤松林の美しい景観を眺め、京都の嵐山の風景によく似ているとのことで、武蔵国の嵐山(むさしのくにのあらしやま)と命名。大変評判になり、多数の観光客が訪れるようになる。東武東上線の菅谷駅も昭和11年には「武蔵嵐山駅」に改名され、駅から観光客の長い列ができたほどだという。この地名は後に、「嵐山町(らんざんまち)」の町名にも採用さた。
また、昭和14年に歌人の与謝野晶子が訪れる。当時61歳であった彼女は、渓谷の自然をテーマに「比企の渓」29首を歌いあげた。平成10年には歌碑も建立されている。
嵐山渓谷の散策のスタート拠点は、「嵐山渓谷バーベキュー場」がおすすめ。ここからは、変化に富んだ嵐山渓谷が満喫できる散策コースが整備されている。紅葉の見頃は、11月下旬から12月初旬かけて。一日ゆっくりかけて、訪れるとよいだろう。