スペシャルインタビュー 氷川きよしさん

ビジュアル系アイドルのようなルックスを持ち、抜群の歌唱力でデビュー以来多くのファンを魅了し続けている氷川きよしさん。演歌というベースを大切にしながらも、ポップスやロックなど様々なジャンルの曲を歌いこなし、色褪せないパフォーマンスで進化し続けている。アーティスト・氷川きよしとして、エンターテイメント溢れる『氷川きよし特別公演』に挑む意気込みを語ってくれた。

劇場はテーマパーク
「氷川きよしワールド」を思いっきり楽しんで!

4大都市の劇場で行われる座長公演

今年6月から、東京・明治座を皮切りに、大阪、福岡・愛知と1年をかけて4大都市の劇場で「氷川きよし特別公演」を展開するという、史上稀にみる挑戦が始まる。この座長公演は、氷川きよしの魅力を凝縮した初めての時代劇以外の本格的な芝居と劇場版コンサートの2部構成で、老若男女、幅広い世代が楽しめる演目になっている。
「初めての劇場公演は新宿コマ劇場で、26歳の時でした。30歳を過ぎた頃から明治座でお世話になっており、笑いあり涙ありの舞台をさせて頂いています。これまで自分のオリジナル作品は、どうしても股旅物が多く時代劇が定番でした。私も随分とこだわりが強く、『個性を表現しつつ自然体で演じる』ことをいつも考えていました。今回、約20年の時を経て初めて現代劇に挑戦することになり、本当に自分が待ち望んでいた作品に巡り合えたと感じています」

18世紀のフランスを舞台に
多役に挑戦

「台本を目にした時、病気の母親の代わりに家計を支えながらも歌手を目指す主人公の姿が自分と重なり、心にグッとくるものがありました。一人っ子だった私も、母親を守りたいという一心で『東京で一旗あげたい』と意気込みを持って福岡から上京しましたから…。
舞台の稽古はこれから始まりますが、この芝居は一人で複数の役を演じ分けることになります。激動の時代を生きる人々と主人公の交流を描く中で、それぞれ違う多彩な自分を表現したい、と今から楽しみです。過去に出会ってきた方々のキャラクターを芝居に生かしつつ、自分にしかできない個性を伝えたいですね。フランスは憧れの国でもあり憂いを秘めたイメージで、どこか自分に共通するものを感じます。舞台ではどんなフランスの雰囲気を再現できるか、今からワクワクしています。フランスにまつわる華麗な衣装をまとった姿も観どころになると思います」

劇場版特別バージョンで届ける歌謡ショー

「22歳でデビューした頃から、『幅広い世代のお客様に楽しんでもらいたい』という思いが根底にあります。去年の福岡公演では『無法松の一生』など、ザ・演歌の名曲や歌謡曲を披露し、お客様が喜んで下さっているのだと実感し感動しました。やはり、故郷で歌うと涙が出ますね。今回の歌謡ショーでは、これまでの自分を作り上げて来た作品を大切にしつつ、これからの自分を表現するエンターテイメント的な要素も披露できればと思います。音楽のジャンルを問わず、演歌は勿論、ロックやポップスも真心を込めてお届けします。『氷川きよし』にしか出せない世界をお客様に伝えられたら…、と思います。曲も衣装も和洋織り交ぜ次々と変わります。歌のテーマに合わせた衣装で繰り広げる、華やかで変化に富んだステージをお見せします」

「体を大切にする事」は「心を大切にする事」

「私自身も先日、藤原紀香さん主演の『サザエさん』を観に行ったのですが、仕事とプライベートのメリハリをつけ、気分を上手く変えることは大切ですね。特に熟年世代になると心に波がありがちになると思いますが、イキイキとなれる気分転換の場所があると良いですよね!エンターテイメントは、心の栄養を貰える場所です。「テーマパーク」に行くのと同じようなトキメキと楽しさが詰まっている場所が、ここ『明治座』です(笑)。明治座での座長公演のひと時を楽しんでくだされば嬉しく思います」

撮影時には、憂いを秘めた雰囲気でポージングする姿にプロ意識の高さを、また、お話を伺う際には「熟年さん」と呼ぶお茶目な一面を覗かせ、旺盛なサービス精神を感じました。色々な魅力を兼ね備えている氷川きよしさんだからこそ、熟年ファンの心を長きにわたり鷲掴みにしているのだと納得した次第。劇場で七変化する『氷川きよし特別公演』に期待が膨らみます。。

聞き手 高橋牧子
編集長 山本英二

Profile 氷川 きよし(ひかわ きよし) 9月6日生まれ 福岡県出身 A型
2000年、デビュー曲『箱根八里の半次郎』で実力派演歌歌手として注目を集め、同年の日本レコード大賞最優秀新人賞をはじめ音楽賞・最優秀新人賞を受賞。翌年『大井追っかけ音次郎』で総合チャートベストテン入り以降、シングル曲全ての連続のシングルチャートベストテン入りを果たす。2006年『一剣』で日本レコード大賞受賞、2008年NHK紅白歌合戦では大トリを務めた。「日本有線大賞」は、歴代最多受賞9回の記録をもつ。時代劇を中心に劇場公演の座長も数多くこなし、今年は4大都市の劇場で芝居と歌の「氷川きよし特別公演」を開催予定。新曲「群青の弦(いと)」好評発売中。