春のおでかけ 入間の湧水を巡る

飯能市の大持山に源を発し、入間市、狭山市を流れ、荒川に合流する入間川。この川は大昔から何度も、流れる場所を変えながら川岸を削ってきたため、その両岸には太古に川岸だったところが、崖や斜面となって残された。この地域で「ハケ」と呼ばれている崖や斜面の下からは地下水が湧き出、生活用水として、水田稲作に適した場所が少なかった地域において、米を生産できる貴重な場所として利用されてきた。今回は、入間川北側にある3つの湧水スポットを紹介する。
入間市野田の「谷田(やた)の泉」は、昔から姿を替えていない希少な湧水で、崖に沿った斜面林、湿地、草地という多様な環境が残されていて、様々な生き物が見られる自然豊かな場所だ。きれいな水でしか育たない「カワモズク」という絶滅危惧種の「藻(も)」の仲間も生育している。
絵馬寺とも言われる、元加治駅近くの「円照寺」。片岡球子、武者小路実篤、水谷八重子など各界名士寄進の絵馬が奉納されている。境内には豊富な湧水による弁天池があり、澄んだ水には大きな鯉が泳ぎ、ハスも花を咲かせる。七不思議の池と呼ばれ、高台なのに泉が湧き、水が濁れば近日に雨が降るといわれている。
春は桜が楽しめる野田河川公園にも豊富な湧水があり、湧水による小川が流れている。
これらの湧水群を巡るモデルコースは、入間市から「元気な入間ふれあい茶ん歩道(さんぽみち)」として、紹介されている。お出掛けに最適なこれからの季節、春を探しに散策してみはいかがだろう。