シリーズ 健康長寿への道2

米寿の現役医師、原田雅義氏に聞く

入間市の中核病院として、一般外来のほか、救急医療・地域医療介護の連携・在宅サービスなどを通じ、地域で総合的なサービスを提供している原田病院。この病院の名誉理事長、原田雅義氏は、90歳を目前にしても現役医師として活躍中で、はつらつと元気で充実した毎日を過ごしている。そんな原田氏に健康長寿の秘訣を伺った。

 

仕事をし続けるのが健康法

現在、週2回の外来と2回の院内回診、週末も検案検視などがあり、ほぼ毎日病院に来ています。散歩をする時間があるならば仕事をする、というように常に自分を忙しい状況におくのが私流の健康法。「動いて頭を使う」、これが元気の源になっています。

体と脳は使わないと駄目になる

37、8年前、私の養子先で隣人のお通夜に出席した際の話です。偶然隣に座っておられた、名栗龍泉寺の僧侶である有馬先生と会話する機会に恵まれました。「京都帝大の名誉教授・大島清先生の『性は生也、性は脳也』という人間の本能について書かれてあるとても良い本があります」と勧められたのです。早速お借りして読んだところ非常に内容がユニークで、更に二、三冊購入し読み干しました。要は、「廃用萎縮」という事で、使わなければ何でも駄目になってしまうという内容です。
例えば骨折。ギブスを巻き1~2カ月経つと、健側に比較した患側は痩せてかなり細くなって、筋肉の萎縮とそれに伴う運動障害が起こります。脳に関して言えば、ご高齢で入院されている患者さんの中には、一週間位経つと少しボケ症状が現れる方もいます。また、今まで一生懸命働いていた人が、定年になり何もせずに家の中でブラブラしていると、早くにボケてしまう方が目立ちます。
『性は生也、性は脳也』というのは、異性との触れ合いが脳細胞を刺激し賦活化につながり、作用しなくなった酵素に活力を与えることで、ボケの防止につながると言うことです。

趣味を生かして脳細胞を刺激

私はよくアカペラで歌を歌いますが、ほとんどが洋楽、特にラテン系が大好きです。高音低音がはっきりしていて、肺活量がないと歌えない曲ばかりです。この発声などが脳細胞に良い刺激を与えているのでしょう。また、油絵も長い間描いています。絵に対して感受性を持ち、考えながら両手を動かす作業で相乗効果が生まれ、脳を活性化させているのだと思います。音楽家や画家が長生きでボケない理由は、その活動工程の中で脳を使う機会が非常に多いからなのではないでしょうか。
誠に淋しい話ですが、医科大学時代の昨年の同窓会で同級生約70名の中、何かしらの返事があったのは約4分の1。そのうち満足に歩いて参加できたのは5名だけでした。何歳になっても身だしなみを整えて外出する機会を大切に、白髪を黒く染め、女性の方であればお化粧をするなど、少しの心がけでも脳に良い影響があると思います。

早期の離床が大切

日本は世界の中でもトップクラスの長寿国でありながら、健康寿命が短く寝たきりの患者が一番多いと言われています。最近、早期離床のための回復期のリハビリの重要性が叫ばれています。加齢による運動器の障害や機能低下は避けられませんが、何事も大事にし過ぎるのは逆効果。そうならないよう意識を変えてください。我々の年代になれば、病院に縁が出来るのはごく自然な事。入院・リハビリが必要な場合でも、その目的をはっきりと理解する事が大切です。早期離床が認知症の防止ばかりでなく脳機能や体力の回復に非常に有効なのです。
「人は加齢とともに老いるのではなく、理想を失った時に老いる」。私の好きな言葉です。皆様も、理想や目的を失うことなく生き抜く素敵な人生であらんことを!

社会医療法人東明会 原田病院名誉理事長

原田 雅義 (はらだ まさよし)氏

昭和30年 東京医科大学卒業 同大外科に入局 消化器外科・脳神経外科を学ぶ。
昭和43年 原田外科病院院長就任
現在 社会医療法人東明会原田病院名誉理事長、
入間看護専門学校理事長兼校長、入間准看護学校校長、東京医科大学外科東柏会副会長、埼玉医科大学連携施設懇談会顧問、入間地区医師会参与、日本臨床外科学会特別会員、日本救急医学会関東地方会幹事、日本核医学会功労会員、埼玉県警察協力医

 

社会医療法人東明会 原田病院
入間市豊岡1-13-3
TEL 04-2962-1251
http://harada.or.jp
診療項目 外科 脳神経外科 整形外科 消化器外科 肛門外科 小児外科 内科 神経内科 糖尿病内科 消化器内科 リウマチ科 循環器内科 泌尿器科 呼吸器内科 耳鼻咽喉科 放射線科 リハビリテーション科

 

※こちらば2018年3月現在の情報です