初夏のお出掛け 日高市 その歴史と文化巡る

日高市では、「高麗(こま)」という地名や、「高麗神社」や「高麗川」などの名称を目にする。これは、古代朝鮮半島「高句麗(こうくり)」と深い関わりがあったことを表してる。高句麗は、中国の東北部から朝鮮半島にかけて約700年間栄えた大きな国だったが、668年に滅亡。奈良時代の716年、時の朝廷が難を逃れ日本に渡来した1799人の渡来人を武蔵国の一部に移し「高麗郡」を置いた。代郡司は高麗若光で、666年に高麗の副使として天智天皇に貢ぎ物を捧げた記録が残っている。明治29年郡制の施行のため入間郡に編入されるまで、高麗郡は残った。
聖天院(しょうでんいん)は、真言宗智山派の寺院で、751年に創建された古刹。高麗山聖天院勝楽寺と号し、江戸時代に作られた山門には独特の雰囲気がある。深い緑に包まれた高台に位置し、広大な境内からの眺望はすばらしい。朝鮮様式を示す高麗王若光の墓、重要文化財の梵鐘がある。
高麗王若光が祀られている高麗神社は、濱口雄幸、若槻禮次郎、斉藤実、小磯国昭、幣原喜重郎、鳩山一郎などが参拝して、その後、総理大臣になったことから「出世明神」と呼ばれる。参道にある記念樹には総理大臣や国会議員、知事などの名前が連なる。
高麗家住宅は、高麗神社の裏手にあり代々宮司を務めた高麗家の住宅。かやぶきの入母屋造りの住宅として県下で最古とされ、国指定重要文化財に指定されている。
大陸の進んだ技術や文化を伝えた高麗からの渡来人に思いを巡らせ、日高市へ出かけてみてはいかがだろう。