小さな旅55 慈光寺

奥武蔵の山中
国宝のある
関東最古の山岳寺院

慈光寺 埼玉県比企郡ときがわ町西平386 ℡0493-67-0040 拝観:9:00~16:00 年中無休 関越道東松山ICまたは嵐山小川ICから車で30分 越生駅、明覚駅よりバス「慈光寺入口」下車、徒歩40分 または乗合タクシー利用 シュウカイドウの咲く慈光寺境内 見頃は8月下旬~9月下旬

 

かつて栄華を誇った山岳寺院

慈光寺は埼玉県比企郡ときがわ町にある天台宗の寺院で、関東一円にある観音霊場、坂東三十三箇所の第9番札所でもある。伝承によれば、天武天皇2年(673年)、興福寺の僧慈訓が千手観音を安置し開山とされたという。その後、源頼朝などの帰依を得て、鎌倉時代に全盛期を迎え、壮大な寺院群を誇った。国宝の経典、法華経一品経・阿弥陀経・般若心経 33巻(東京国立博物館寄託)は、この時代の作品だ。戦国時代は僧兵を傭し、近隣の城主との抗争に明け暮れたという。その後、太田道灌らによって焼き討ちにあい、栄華を誇った寺院も衰運をたどることになる。慈光寺は、かつてこの地方の政治・経済・文化の中心であり、その伝統や技術が、ときがわ町の建具や小川町の手漉き和紙、狭山茶など、現代にも伝承されている。
ここへの参詣は、JR八高線明覚駅から乗合タクシー(要予約 049・292・8181越生タクシー)の利用が便利だ。途中の道程で先ず出会うのが慈光寺山門跡に立つ板碑(いたび)群。2mを越す5基の大型板碑を含み大小の板碑が林立する風景は不思議な感覚だ。ここから、現在の山門までかなりの距離があるので、往時の規模の大きさを伺い知ることができる。
慈光寺は境内全体が、自然と一体になっていて、とて清々しい空気が流れている。各建造物は距離が離れているので、ハイキングする心づもりで訪れるとよいだろう。

 

①山門 ②本堂(阿弥陀堂) ③開山堂 ※開山宝塔が収められている。 (国指定重要文化財)  ④観音堂  本堂へ到着して更に10分くらい登る。 ⑤宝物殿  9:00〜16:00  拝観料 大人(中学生以上)300円  文化財 法華経一品経・阿弥陀経・般若心経 33巻(国宝)、開山塔、銅鐘、金銅密教法具、大般若経 152巻(国の重要文化財)ほか。 ⑥板碑群(青石塔婆)  ここから山門まではまだ800メートルほど。  山全体が境内だった事が分かる。