「終活」にオススメの、読んでおきたい本6選

旅立つ人も見送る人も、最期まで笑顔で過ごせる

 著者の小笠原文雄先生は、全国から医師が見学や研修に訪れる在宅医療の第一人者。
 「退院したら5日の命」と余命宣告されながら5年経った今も元気に過ごす患者や、大切な人を看取った直後に遺体を囲み、笑顔でピースする家族、「今がいちばん幸せ」と言う末期がんの患者など、「在宅医療」だからこその、奇跡のエピソードの数々に、深い感動が湧き上がる。
 多くの人は、家で最期まで過ごしたいと望みながらも病院で最期を迎えている。そうした中、家族に介護力がなくても、一人暮らしでも、末期がんでも、ボケていても、「誰だって、最期まで家で朗らかに生きられる!」と小笠原先生は説いている。小笠原先生はこう語る。
「旅立つ人が希望死・満足死・納得死ができたなら、離別の悲しみはあっても、遺族が笑顔で見送ることができるのです。『なんとめでたいご臨終』と言わずにはいられません」
 この本は、人生観、死生観が変わる「大切な一冊」になることだろう。

 

芸能界一のおしどり夫婦が着々と進めていた「今やるべきこと」

 芸能界のおしどり夫婦としておなじみの2人。1978年に結婚するも、今から12年前に池波さん、翌年に中尾さんと相次いで大病を患うという夫婦の危機を乗り越え、今年結婚40周年を迎えた。
 子供がいないため、墓をどうするかという問題から発展、不動産の売却から遺言状の作成、趣味の品の処分まで、人生の最期を迎えるにあたってするべきことをまとめあげた。中尾さんがデザインした墓はすでに完成。千葉のアトリエと沖縄のマンションは処分した。中尾さんが撮りまくった写真、料理や絵画、映画などの専門書、衣装など様々なゆかりの品も処分したという。
 「墓選びも、終活もね。楽しんだほうがいい。そのためには元気な時にやるべきだね。遺書なんかはやってみると、色んなものが整理されて気持ちいいよ」
 団塊の世代が、これからの時代をどのように「いきいき」と過ごせるか、この本にはそのヒントが詰まっている。

 

人生後半の「断捨離のしかた」とは?

 「断捨離」という言葉を世に定着させた著者のやましたひでこさんが、自身の家のリビング、玄関、キッチン、寝室、洗面所、タンスの中、新居のマンションを初公開。何をどう捨てるのかについて、イラスト付きで手順が説明されている。「人生の後半をどのように生きていくのか」ということを踏まえて、身の回りの道具だけでなく、住まいそのものをどうするかという事についても語っている。シンプルに過ごすことの気持ち良さを感じさせる写真や言葉が満載で、この本を読むと直ぐに断捨離したくなるだろう。著者がご主人の定年を機に沖縄に移住し活躍の場を広げている姿にも大変勇気づけられる。

 

 

新しい親子のコミュニケーションツール

 子供が親と作る親の記録。親の生活スタイル、趣味・こだわりなどを、子供や介護者と一緒に書き込めるよう作られている。知っていると思っていた親の事は、ほとんど分かっていなかった事に気付かされるだろう。この本を完成させるには、親としっかり向き合う事が必要だ。書けるところから始められるように、カテゴリーごとに分類しており、また初級・中級・上級の3段階になっている。初級は親の日常生活や健康を把握することができ、中級では親の思い出のアルバムとして残すことができる。看護・介護の時にも、関係者と情報を共有するツールとして重宝するだろう。デザインも秀逸だ。

 

 

最新のお墓事情に迫るルポルタージュ

 ノンフィクション作家井上理津子さんが、納骨堂の最前線を取材。細かく丁寧なレポートでその姿勢には拍手を送りたい。専門家的な視点ではなく、一般的な興味を軸に取材しているから面白く読みやすい。お寺や霊園側の事情や本音だけではなく、その背景にある日本人の価値観の変遷のようなものまで描き出している。
 社会問題となっている「墓じまい」、「改葬」への密着や、納骨堂と同様、注目を集めている散骨や樹木葬なども取材。「お墓、どうしよう?」「お墓、どこにしよう?」と悩む人たちの解決の一助になることは間違いないだろう。

 

 

人生の深淵について語る珠玉の言葉

 2017年7月に、105歳でこの世を去られた聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さん。2016年年末からはじまった本書のインタビューは、亡くなる直前まで、時にはベッドに横たわりながら20時間以上行われたという。死と生、病と健康、出会いと別れ等々、人生の深淵について語っている。
 「死ぬのは僕でも怖いんだよ。だからこそ、朝起きて自分が生きていることが、心から嬉しい。105歳になっても尚、僕にはまだ自分でも知らない未知の自分がたくさんあると感じているのです」(本書より抜粋)
 そばに置いて、いつも読み返したい一冊だ。