秋のお出掛け 正福寺 地蔵堂

 わずか2件しかない東京都の国宝建造物。旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)が2009年新たに指定される前までは、唯一の国宝建造物だったのが、東村山市にある正福寺地蔵堂だ。室町時代の応永14年(1407年)の建立で、禅宗様仏殿の代表作の一つ。同時代の建築である鎌倉の円覚寺舎利殿と規模・形式が近似していて、内部には本尊地蔵菩薩像のほか、多数の地蔵菩薩の小像が安置されている。
 屋根は入母屋造、杮葺、一重裳階(もこし)付き。平面はほぼ正方形である。屋造の端部が反り上がった外観は禅宗様特有のものである。内部は土間で、間仕切りのない一体の空間とし、天井は裳階部分は垂木をそのまま見せ、内陣中央は鏡天井となっている。鎌倉街道沿いにあり、外部は常時見学可能、11月3日の地蔵祭には内部も公開される。また、地蔵堂の左手には、貞和の板碑(いたび)と呼ばれる東京都内最大の板碑が安置されている。
 正福寺へは、東村山駅から徒歩15分程度。近くには「東村山ふるさと歴史館」(東村山市諏訪町1-6-3 ℡042・396・3800)や、北山公園もあるので、一緒に立ち寄るとよいだろう。