足腰守護の神仏として信仰を集める
標高640mの山岳寺院
日本一の鉄わらじがシンボル
子の権現天龍寺(ねのごんげんてんりゅうじ)は飯能市にある天台宗の寺院で、武蔵野三十三観音霊場32番札所でもある。正丸峠、伊豆ヶ岳から東へ続く山並みの標高640mの山頂にあり、登山で訪れる人も多い。寺院であるのに、入口には鳥居、本堂には狛犬があり、神仏習合の色合いが強い。その歴史は古く、平安時代の延喜11年、子ノ聖が十一面観音を祀ったのが子ノ権現の始まりとされる。
子ノ聖は昇天の時に、「我、化縁につきぬれば寂光の本土に帰るべし。然れども、この山に跡を垂れて永く衆生を守らん。我登山の折、魔火のため腰と足を傷め悩めることあり。故に腰より下を病める者、一心に祈らば、その験を得せしめん」と誓いをたてたことから、以来、足腰守護の神仏として信仰されている。本尊へ履物を奉納し、各自の願をかける慣しがあり、境内にある重さ2トンある日本一の鉄わらじは、その信仰のシンボル。足腰が悪い人をはじめ、相撲力士、スポーツ選手等がお参りを行う。近年では、自動車や自転車・バイクの無事故交通安全を祈願する者も多い。
本堂から少し登った見晴し場からは、東京スカイツリーも望め眺望が素晴らしい。門前にある樹齢千年といわれる、埼玉県天然記念物でもある二本杉、江戸末期に建てられた大きな茅葺屋根の本堂など見所も多い。
下山の途中に、ぜひ立ち寄りたいのは老舗のうどん屋「浅見茶屋」。江戸時代に建てられた古民家でいただく武蔵野うどんは名高い。
①二本杉
子の聖が開山の折、箸代わりに使った2本の杉の枝をここに挿し、それが成長し大木になったと伝えられ、樹齢およそ千年といわれている。
②仁王像
昭和11年に造像された。ユーモラスな顔立ちが特徴。露座の仁王像は希有な存在。
③本坊
茅と杉の皮で何層にも葺かれた屋根は、この寺の名物。大黒柱は周囲2.3㍍の大木が使われている。
④見晴し場からの眺望
⑤門前の茶店
昔懐かしい三角形のペナントのお土産も販売
⑥浅見茶屋
飯能市坂石1050 ℡ 042-978-0789
営/11:00~18:00 休/水・第4木