小さな旅57 増上寺

東京タワーとのコラボが絶景
都会の中心に佇む徳川家の菩提寺

将軍家ゆかりの寺

東京タワーを背景にしたロケーションが素晴らしく、四季を通して大勢の参拝客が訪れる。国の重要文化財の「三解脱門」、秘仏黒本尊が祀られる「安国殿」、江戸三大名鐘の一つ「鐘楼堂」、アメリカ第18代大統領グラント将軍訪日の際に贈られた「グラント松」など見どころは多い。
開山は明徳四年(1394年)。徳川家の菩提寺となった増上寺は、江戸城の拡張に伴い、現在地の芝に移された。風水学的見地で、江戸の鬼門である上野に寛永寺を置き、裏鬼門にあたる芝の抑えとしてこの地が選ばれたという。将軍家の庇護のもと、その後の隆盛はすさまじく、約25万坪も境内には120以上の堂宇(どうう)、3000人を超える修行増の念仏が響いていたという。ところが、明治維新以降の廃仏毀釈によって状況は一転。規模は縮小し、境内の広範囲が芝公園となった。さらに太平洋戦争中の空襲によって、徳川家霊廟や五重塔など遺構の多くが灰燼に帰した。焼失した徳川家霊廟は、日光東照宮に匹敵する壮麗な権現造りだった。その跡地に建てられたのが現在のプリンスホテルで、戦火を免れた霊廟の門の3棟は、昭和38年に所沢のユネスコ村に移築されている。現在の「徳川将軍家墓所」は、2代将軍秀忠公を始め6人の将軍やその親族が眠っている。これは残った石の宝塔を戦後移設、まとめられたものだ。
時代の流れに翻弄されながらも、再興を果たしてきた増上寺。過去に思いを馳せながら訪れたい。


① 大門
昭和12年東京都によって旧大門の意匠を踏襲し1.5倍の大きさの鉄骨鉄筋コンクリート造で再建
②三解脱門
増上寺で唯一の江戸時代初期の面影をお残す建造物(重要文化財)
③鐘楼堂(しょうろうどう)
鐘楼堂ほ戦後に再建されたものだが、大梵鐘は、1673年に7回の鋳造を経て完成。(東日本で最大級)
④グラント松 樹齢130年のヒマラヤスギ
⑤徳川家将軍家墓所
平日11:00~15:00、土日祝10:00~16:00 拝観料大人500円(徳川将軍家旧御霊屋 絵葉書付)
⑥千躰子育地蔵尊
子育てにご利益がある言われているお地蔵さまたちは、ニット帽をかぶった可愛らしい姿だ