スペシャルインタビュー 梅沢富美男さん・研 ナオコさん・三山ひろしさん

芸能界の「ご意見番」として、歯に衣着せぬ発言で周囲をざわつかせながらも、そのぶれない姿勢でTVに引っ張りだこの梅沢富美男さん。彼と、数々の舞台で阿吽の呼吸で芝居を展開し、独特の世界観でマルチに活躍する研ナオコさん。お二人に加え、「ビタミンボイス」の異名を持ち演歌界を牽引、お茶の間の人気者三山ひろしさん。3人の豪華共演による明治座150周年記念特別公演が6月より公開される。芝居あり歌あり舞踊ありの3部構成で繰り広げられるステージを目前に控えた3人に、公演に挑む意気込みを語って頂いた。

~明治・大正・昭和・平成、そして令和へ~
明治座150周年記念公演へ向けての思いを語る

今この世の中だからこそ、
人情芝居を続けていきたい

梅沢「今まで研ナオコさんとは、10年以上ずっとお仕事させて頂いているので、何の刺激も無いのですが…(笑)、今回は三山ひろしさんが新しく加わり、どんな化学反応が起きるかと、今からとても楽しみですね。お芝居というのは、意気込んで演じたり形を固めても、ろくな事にはなりません。舞台ではある程度は自由に。それをどう抑えながら演じるかが勝負なんです。今回の『清水の次郎長』は70年位前から演じられてきている、強い人が弱い人を助ける、という人情芝居の最たるもの。ストーリーを言ってしまうと20秒で直ぐに終わってしまいますが(笑)、その筋をどう膨らませるかは役者の腕です。台本はあくまでも進行で、台本通りやればウケるなんてとんでもない!いかにウケる方向にもっていくかですから。私は今回、借金取りの虐め役なので、舞台の上では手は抜かず徹底的に悪になりますよ。お婆さん役の研さんは、笑いのツボを心得ていて味がありますので、そのやり取も見所の一つですね。私が最も大事にしている義理人情の『笑いあり涙あり』のこの舞台は、きっと皆さんを自然に笑顔にさせるはずです」

お客さまの笑い声が私のエネルギーの源です

研「梅沢さんとは、舞台の上ではいつも阿吽の呼吸でやらせて頂いています。彼とご一緒させて頂いた当初は、1ヶ月間1日2回公演は死にそうなほどキツかったです。でも今では、1日1回きりの自分のコンサートなどは物足りなく感じるようになりました。今回は明治座さんの150周年の記念舞台ですが、『今回だから特別』という意識はありません。意気込みって特にないんですけど(笑)、今まで通りのお芝居をやらせて頂ければ、きっととても楽しい舞台になるんじゃあないかなぁ。時々乱が飛び込んできますので、台本は勿論ありますがアドリブで何とか…。初めて共演する三山さんは、ビックリするほど真面目な方で、とても好青年。彼が清水の次郎長役を演じる事で、新鮮でいつもと違った面白味が出ると思います。
お芝居のほか、歌謡オンステージや豪華絢爛な舞踊ショーの演出も梅沢さんが手がけていています。目が離せませんよ!約1か月間の長丁場ですが頑張りますので、かしこまらずに遊びに来る感覚で観に来て頂きたいですね」

歌って演じられる幸せをかみしめています

三山「明治座創業150周年の節目の年に、梅沢富美男劇団の仲間に入れて頂き、勉強する時間をもてるのはとても有難い事です。『芸は観て盗め』とよく言われますが、出来る限り先輩方の姿を観て、沢山の事を学びながら演じていければと思っています。座長の梅沢さんの動きによって、自分も絶えず動きについていけるような態勢をとらないといけないと思っています。緊張感もありますが、自分自身をスポンジだと思って、1滴残さず全てを吸収したいですね。清水の次郎長を演じるにあたって、浪曲の広沢虎造のイキでかっこいいイメージを持っています。それをどのように演じていくか…全てが勉強です。
自分は歌手生活15年、役者としてはまだまだ駆け出しです。25歳の時、祖母の応援もあり歌手を目指して上京しましたが、よもや明治座の舞台を踏めるなんて思いもしませんでした。今こうして皆様の前で歌や芝居が出来るのは夢のようです。この公演期間は今迄にない素敵な1ヶ月になると思います。その幸せな気持ちをそのまま客席の皆様にお返ししたいですね! 期待に応えられるよう頑張ります」

舞台役者の華、明治座

梅沢「僕は36歳で初めて明治座に上がり、気付けば37年間この舞台を踏んでいます。舞台役者は最終的には明治座の舞台に上がるのが華です。格式ある明治座の150周年記念公演の舞台に上がれるのは、とても名誉な事で光栄に思います。自分が拘り続けている人情芝居の世界を、ここ明治座の舞台を通して皆さまに観て頂き、エネルギーを持ち帰って頂けたら、役者としてこれ以上嬉しい事はありません」

梅沢富美男さんのお芝居を観に来るのは年配の方が多く、忘れ物で一番多いのは、何と『杖』だそう。舞台を観終わった後には、杖を忘れて元気で歩いて帰って行くというのだ。今回の明治座の公演でも、3人のパワーで観る人に笑顔と感動、そしてエネルギーを与えてくれるに違いない。

聞き手 高橋牧子
編集長 山本英二

Profile
梅沢 富美男(うめざわとみお)1950年11月9日生まれ 福島県出身
大衆演劇界の花形役者の両親の下、1歳7か月で初舞台を踏み15歳で本格デビュー。20代半ばに妖艶な女形で人気を集め、「下町の玉三郎」の異名で大衆演劇界のスターとなる。‘82年リリースの「夢芝居」は50万枚超えの大ヒットを記録、同年ドラマの準主役に抜てきされブレイクを果たす。現在『プレバト!!』などの多数の番組に出演をする他、CMでも好感を集め知名度は抜群。梅沢富美男劇団座長として、エンターテイメントな活躍をしている。

研 ナオコ (けん なおこ)1953年7月7日生まれ 静岡県出身
1971年歌手デビュー、‘75年「愚図」でFNS音楽祭・最優秀歌謡音楽賞を受賞。‘78年「かもめはかもめ」で日本歌謡大賞放送音楽賞、日本レコード大賞金賞を受賞。CMやバラエティ番組にも多数出演し、マルチな才能を発揮。’75年「カックラキン大放送」の「ナオコお婆ちゃんの縁側日記」が人気を博した。長きにわたり多方面で活躍し、‘18年故郷の「伊豆市親善大使」に就任。自身のYou Tubeチャンネルでのすっぴんからのメイク動画は、500万回超え再生で話題となる。

三山 ひろし(みやま ひろし)1980年9月17日生まれ 高知県出身
2003年度NHKのど自慢グランドチャンピオン大会に出場。2009年のデビュー曲「人恋酒場」で日本レコード大賞「日本作曲協会奨励賞」を受賞。同年、日本レコード協会のゴールドディスク認定を受ける。’15年NHK紅白歌合戦初出場から8年連続出場を果たし、演歌界を牽引している。「ビタミンボイス」と名付けられた声の音色が愛される国民的演歌歌手。けん玉は4段の腕前で‘16年日本けん玉協会から「けん玉大使」に任命、ステージ上でけん玉を披露するタレント性も発揮している。