お墓を処分する「墓じまい」その手続きと手順

先ずは親族家族の同意を得る

お墓を引き継ぐ後継者がいない、遠方で墓の管理が困難といった理由で、「墓じまい」を選択する方が増えています。墓じまいはお墓の権利を返還するだけでなく、遺骨の行き先を考えなければなりません。
墓じまいをするにあたって、まず親族や家族の同意を得ておきましょう。皆の了解が得られたあとは、お墓の中の遺骨を把握しましょう。先祖代々続く墓であれば、その分、遺骨の数は増えます。事情によっては遺骨の行き先がそれぞれ変わることもありますので注意が必要です。

お墓の管理者へ連絡・相談

次に、現在納骨されている墓地の管理者へ日程調整などについて相談へ行きます。このとき、「埋葬証明書」の作成依頼を忘れず行いましょう。
寺院墓地の場合、墓じまいに必要となるお布施や離檀料などが要求される場合があります。どのような理由で墓じまいをするのかなどしっかりと説明し、管理者に理解してもらえるよう努めましょう。

改葬を行う場合の手続き

今後の供養方法が、改葬か散骨や自宅供養など新たな受け入れ先を不要とする供養方法かで変わってきます。改葬を行うためには、現在お墓がある場所の市町村長に許可を受けることが法律で定められています。許可を受ける手続きは次のとおりです。
●現在お骨がある市区町村役場から「改葬許可申請書」用紙を入手する。
・申請書の様式は地域でそれぞれ異なります。窓口で受け取る以外にも、役所のホームページからダウンロードできる場合もあります。
●申請書の各項目を記入して捺印する。
・記入に際して不明な点があれば、窓口で尋ねるのが一番の早道です。
●申請に際しては、他に2つの証明書が必要となりますので事前に取り揃えておきます。
①「埋葬証明書」
現在の墓地の管理者から発行してもらう。
②「受入れ証明書」
新たな移転先の墓地の管理者から発行してもらう。
●以上の3点の書類を揃えて申請すれば許可されます。

改葬先での受け入れ

改葬許可証が準備できたら、新たな受け入れ先に許可証を提出し、いよいよ墓じまいとなります。閉眼供養や遺骨の取り出しの後、墓石を撤去し、更地にした状態で管理者へ返還します。新たな受け入れ先では開眼供養や納骨式などを行います。新たな受け入れ先を必要としない手元供養などの場合は、基本的には書類を必要とする手続きが不要となります。

墓じまいにかかる費用

墓じまいには、事前準備から、遺骨の新たな受け入れ先に納めるまで、さまざまな費用が発生します。各種証明書の発行費用、寺院へのお布施・離檀料など、出骨作業費、遺骨の移送費、墓石の解体・撤去工事費などです。遺骨の状態によっては洗骨などの遺骨のメンテナンスに係る費用も必要になります。(左記一覧表参照)

改葬以外の場合

改葬をしない場合は、自宅で保管する手元供養や、遺骨を粉砕して山や海などにまく散骨、霊園などに設けられた樹木の下に遺骨を埋葬する樹木葬といった方法があります。ただし、手元供養を選択した場合、供養していた方が亡くなったとき、遺族がふたたび遺骨の扱いに困るということにもなりかねません。今だけではなく、自分の死後のことも念頭に置いて、遺骨の扱いを考えましょう。