小さな旅69 山吹の里

(写真提供 フォトさいたま)

山吹の里歴史公園
所在地/埼玉県入間郡越生町如意
東武越生線・JR八高線「越生駅」から400m(徒歩約7分)
℡049-292-1451(越生町観光協会)
ヤマブキの見頃は4月中旬から4月下旬

室町時代の名将
太田道灌ゆかりの伝説の地

太田道灌生誕の地「越生町」

江戸城を築城し、文武両道に長けた名将として定評がある、室町時代後期に関東地方で活躍した武将、太田道灌。その道灌生誕の地が、埼玉県越生町だ。道灌は、幼少期から英才ぶりが知られ、数多くの逸話が存在するが、最も有名なのが「山吹の里伝説」。ある日、鷹狩に出かけた道灌はにわか雨に遭い、蓑を借りようと農家に立ち寄った。出てきた娘は花が咲いた一枝の山吹を差し出すのみで、道灌は蓑を借りれずに花を出されたことに立腹しながら帰宅した。後でこの話を家臣にしたところ、それは兼明親王の歌「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」に掛けて、貧しく蓑(実の)ひとつ持ち合わせがないことを答えたのだと教わる。道灌はそれを恥じて、それ以後は歌道に励み、歌人としても名高くなったという。「山吹の里歴史公園」はその伝説の地として整備されていて、葉桜になる頃、水車小屋の周辺は、約3000株の八重ヤマブキで黄金色に染まる。
道灌と父・道真の墓所があるのは、越生駅から、黒山三滝方面へ向かった山中にある「龍穏寺」。境内には、道灌の銅像も建てられていて、四天王像のある趣のある山門や江戸時代に建てられた「経堂」、立派な彫刻のある熊野神社の本殿など、見所が豊富なので、ぜひ立ち寄りたい。
道灌ゆかりの地、越生町では現在、太田道灌を大河ドラマにしようと運動を行っている。同じ県民として、ぜひ応援したい。

①山吹の里歴史公園の展望台からは、越生の町が一望できる。
②越生駅西口ロータリーにある太田道灌像
③龍穏寺
埼玉県入間郡越生町大字龍ケ谷452
越生駅からバスで15分
上大満バス停から徒歩で30分
龍穏寺境内にある太田道灌像
④龍穏山門(越生町指定有形文化財)
仏法を守護する四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)の像がある。
⑤龍穏寺の鎮守として祀られた神社で天保15年(1844)に建てられた。神山之村(現群馬県太田市)の彫り物師、岸亦八の彫刻は見事だ。
⑥太田道灌の墓所 父道真が眠る龍穏寺に、後年道灌の遺骨が分骨されたとされる。